2024年9月1日に、あぱけん神戸は、連帯労働者組合・杉並、ユニオンらくだ、連帯労働者組合・板橋区パート とともに4組合でILO宛情報提供を行いました。
11月2日に上記のとおり、「なくそう!官製ワーキングプア大阪集会」が開かれました。
そこで、あぱけん神戸の組合員八木が、下記のとおり発言しました。
4組合のひとつユニオンらくだの組合員の原稿の代読と、補充です。
わたしたちは、4労組、あぱけん神戸、ユニオンらくだ、連帯労働者組合・杉並、連帯労働者組合杉並区パートの4組合です。 あぱけん神戸、ユニオンらくだは官製ワーキングプア大阪集会実行委員会の構成団体になっています。
本当は、会計年度任用職員であるユニオンらくだの卜部さんが発表することになっていたのですが、事情によりできなくなったため、彼の発表についてまず私、あぱけん神戸の八木が代読します。
2024年11月2日 官製ワーキングプア大阪集会にご参加のみなさま!
京都市のユニオンらくだ・非常勤嘱託職員部会の卜部です。
私たちの希望は、労働基本権の再獲得と瀕死の会計年度任用職員制度の廃止です。
2020年3月31日まで、私たちは、労働組合法上の労働組合として、憲法・労働基準法・労働組合法をバイブルにして組合活動を行ってきました。同じ苦悩、同じ悔しさを抱える特別職非常勤の仲間たち、常勤一般職員の先輩たちと共に歩んだ30年でした。
京都市人事当局との団体交渉では、地公法3-3-3の特別職非常勤は脱法行為であり、これをただちに改めなければならない、としながらも、いま現に働いている非常勤の苦しい生活と人生をどうするのか?として労働条件の改善を要求ました。
人事当局は、脱法行為については、「他都市とかわらない」としてきましたが、私たちの追求を受け、可能な限り改善してきました。たとえば、各種手当を各種報酬と言い換えてして支給する、休暇制度についてもほぼ常勤一般職員と同等のものにする、などです。この改善のために20数年費やしました。私たちの労働基本権の行使と、当局の脱法行為という負い目と比較的民主的だったことが大きかった、と考えていました。
しかし、2020年4月1日の会計年度任用職員制度導入によって、私たちは、労働基本権をはく奪され、身分保障はされず継続雇用を期待することも許されなくなりました。京都市当局は、「合法である」というお墨付きを得たことで、脱法行為という負い目が払拭されました。昨今は、継続雇用の要求については「法をまげることはできない」などとうそぶく始末です。有期雇用職員はあくまでも使い勝手の良い不安定雇用のままにしておきたい、ということです。
労働組合にとっては闘うすべを奪われ、職員にとっては雇用不安と生活不安がもたらされました。死せる法をして生ある者を葬りさる、という現実を目の当たりにしました。つまり、京都市当局を民主的だ、と思ったのは私たちの錯誤だったのです。そして、政府総務省や人事当局の残酷さを痛感すると同時に、同じ職場で働く有期で不安定雇用の職員の苦境に対して、「他人ごと」として無関心を決め込んでいる常勤一般職員に対しても哀れさも感じました。次は、あなたの番なのですよ。
さて、産別の大きな組合はその存在を生かした闘い方があり、立法と連携が取れる組合は議会を通じて法改正を求めることもできるでしょう。しかし、ユニオンらくだは少数組合ですし、だれ一人知り合いの議員さんはいません。
ゆえに、やはり、労働基本権を活かした生きていくための労働組合運動を職場において行う、という原点に立ち返らなければならない、と考えました。このようなことから、会計年度任用職員制度を改定させ、労働基本権を再度獲得するためにはどうすればいいのか?を考えるに至りました。
そこで、他の3労組のアドバイスにより、外部すなわちILOに、共に申立てを行ない、情報提供を行うことにしました。内部的に解決できないとすれば外部に持込み、ILOから日本政府に法改定を促させる、しかないのではないか、ということです。ILOは政府に是正を求めていますが、今のところ、動く気配はありません。
いま、全国各地の公務職場の労働組合は、一斉公募の廃止、雇用年限の撤廃を求めて必死の交渉を続けています。私たちもそうです。「6・28マニュアル改定」に対して、京都市人事委員会は「国の期間業務職員について、 職員の確保が困難になっていること等を踏まえ、公募によらず再度任用を行うことができる上限回数を連続2回までとしていた努力義務が廃止された。一方、総務省からは、引き続き、会計年度任用職員の再度任用においては、できる限り広く募集を行うことが望ましい、との考え方が示されている」という勧告を行いました。これを受けた人事当局は、交渉において一斉公募廃止に掣肘を加えてきています。厳しいですが、闘いを継続しています。
最後に、ふと、思いました。サーカスの空中ブランコはネットが張られているからこそ素晴らしい演技ができると聞いていますし、バンジージャンプはそのロープが絶対に切れないからこそ安心なのです。しかし、ネットはない、ロープは3回か5回に一度は必ず切れる、となれば、よい演技など望めないだろうし、バンジージャンプという遊戯も成立しません。(以上が 京都のユニオンらくだの卜部さんからのメッセージです。)
次に、われわれが行った9月のILO宛「情報提供」について、八木から発言します。
2017年の5月に地方公務員法改正案が可決され、「会計年度任用制度」ができました。施行は2020年4月からです。それに対して、われわれ4組合は直ちに「今回の法改正はILO87、98号条約に違反し、逆行するもの」なので、中止勧告をしてほしい旨を、ILOに訴えました。
その後、連帯杉並の安田さんがジュネーブに行かれたり、様々な経緯があり、現在に至っています。
我々4組合は9月1日付けでILO宛に「情報提供」を行いました。
内容はまず、〈第1、ILO87号条約:労働基本権について〉、です。
2024年6月ILO総会基準適用委員会において、消防職員及び刑事施設職員の問題に加えて、「地方公務員労働者が条約に定める権利と保障を享受できるよう、地方公務員法その他の関連法を見直すこと」という勧告がなされました。
そもそも何十年もまえからわれわれは、公務員から労働基本権が奪われていることの不当性をILOに訴え、ILOはその主張に同意し政府に対して何度も是正勧告を行ってきました。
ところで公務員といっても、かって非正規公務員の大多数をしめた「特別職非常勤職員」は、地公法上の位置づけが明確ではなく、脱法的ともいえる立場でした。しかしそのために、「公務員としての労働基本権はく奪」を免れていたのです。そしてそれを利用し、組合結成・団体交渉などをつみ重ね、労働条件の改善を勝ち取ってきた労働者も全国に居ました。ユニオンらくだがその実例であるとさきほど、卜部さんの原稿で、言いました。ところが、2017年地公法改悪により、この22 万人もの「特別職非常勤職員」から「労働基本権はく奪」が行われてしまったわけです。会計年度任用職員には「手厚い身分保障」、「人事委員会の賃金勧告」、「労働条件の条例による保障」がありません。 つまり、労働基本権はく奪の理由がないのに、はく奪だけが行われたわけです。
わたしたちは「有期労働契約の濫用」の防止が国際労働基準であると考えます。現在の会計年度任用職員は明らかにこれに反しているので、見直されるべきです。
地公法改悪による労働基本権はく奪の別の例をあげます。労働組合として闘い続けてきたなかで突然その権利を奪われるという体験に対して、どうしても許せないとして怒りの声を上げたのが「東ゼン労組」のALTの方たちです。ALTつまり、Assistant Language Teacher=外国語指導助手である2人の外国人教師を原告として総務省を巻き込み現在裁判継続中です。これについては、10月6日に行われた、なくそう官製ワーキンプア東京集会のyoutube(の1h08mくらいのところ)を見てください。
https://www.youtube.com/watch?v=PNm0S5M9WUs?t=6470
つぎに、〈第2 ILO122号雇用政策条約について〉です。
2024年2月に「専門家委員会報告:雇用政策」において見解は示されました
①「新制度の実施5年後(2025年)に」、「公共部門の潜在的不十分さを特定し」、「雇用政策を改善することを目的とした評価(アセスメント)を実施する意向があるかどうかを示すように」
とあります。
今年5月13日参議院(第213回)行政監視委員会 で質問してくれた、イハ洋一(沖縄選出の議員)は、次のように分かりやすく言い換えています。「つまり、二〇二〇年に開始された会計年度任用制度について、実施五年後の二〇二四年末時点でどのように改善するか、あるいは改善したかどうかという報告がILO専門委員会から求められているわけです。」
つまり、これはまさに我々の希望、そのとおりの勧告と言えます。
・2024年3月、東京都で、スクールカウンセラー 250 名が「公募不合格」で雇止めに逢いました。「5年公募制」により再度任用がされなかったためです。
「雇用機会公平性の確保のため」「市民の方々に広く挑戦する機会を持ってもらうため」といった説明をするようですが、これはオカシイ。今働いている人を辞めさせて新しい人を入れる。このような雇用政策は社会的に許されるものではないはずです。
・2024年6月 28 日、画期的なことが起こりました。人事院は「3年公募制廃止」の通知を発出し、総務省はQ&Aから「国では3年公募制」との記述を削除しました。労組と非正規当事者団体、国会と自治体議会、研究者や報道関係者など、またILO勧告なども含めた、長年にわたる取組の大きな成果だと考えることができます。
今年、 ILOから、我々の予想を超えた、力強い勧告を我々は得ることができました。またvoices、はむねっとなどの広報活動によってマスコミを通じて市民からの関心も高まっています。このような波にのってわたしたちは運動を前に進めていきたいと思います。
日本政府が非正規公務員に対して、① 労働基本権を直ちに回復すること、② 恒常的業務には無期雇用を確保すること、③当事者および当事者労組と協議を尽くすこと、を、私たちは求めます。
また、日本政府は、ILO からの勧告や意見を国と自治体の公務員および議員に伝え、広く社会に知らせるべきだ、ということも併せて訴えます。
(卜部さんの部分と野原の部分で内容的に重複があったのをお許しください。)
4組合からの2024専門家委員会への情報提供は下記にあります。
ILO宛情報提供 2024年9月1日
経緯:https://rentai-suginami.wixsite.com/0001
実際は時間がなく、後半部分はあまり読めませんでした。
というより、決められた時間を2分ほど超過してしまい、タイムキーパーY氏や皆さんに迷惑を掛けてしまいました。